6章 乱入と騒ぎ

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「夫と社長が不倫していることは知っている!今すぐ出てこなかったら、メディアを呼んで不倫をバラすと…」 久は独身と言っていたのに、この時、久が既婚者だったことをはじめて知る。 扶養に誰も入っていなかったので、結婚しているとは思ってもいなかった。 「社長...!まずいですよ!」 「玄関へいきましょう!」 沙絵は役員と社員に連れられ玄関へ走って向かうと、自分とそこまで歳の変わらない女が本社前で暴れていた。 警備員もやってきて羽交い絞めにして止めるも、奇声を上げ続けている。 野次馬も出ていて、とんでもないことになっていた。 騒いでいる女の前に沙絵が出てくると、女はいきなり沙絵の顔をひっぱたいた。 顔が真横に飛び、思わず頬を押さえて、沙絵は女の顔を見た。 「あんた…あんたね!私の夫と不倫してたのは!」 「美佳!何やっているんだ!!」 野次馬の中に久がやってきて、沙絵をひっぱたいた女を美佳と叫びながら、久も止めに入った。 しかし、美佳の暴れ馬のような手足は止まるどころか、さらに暴れようとしている。 鬼のような目で沙絵を睨みつけ、もう一発沙絵を殴ろうとしたとき、沙絵の体が自然に動いて美佳の手首を掴んだ。 「これ以上…こいつを傷つけるな…」 美佳の右腕を強く握り、腕を下して固定させた。 普段の沙絵の腕力では、できないことだ。 さらに、口調まで変わっている。 沙絵のピンチに“影”が乱入し、沙絵の体を借りて、美佳の暴れる手を止めた。
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