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最終章 泥沼の決戦
モスアズ本社前に集まってきた野次馬の対応は警備員に任せ、沙絵は運転手を呼び出し、社用の車で別の場所へ移動した。
マスコミなどにこの騒ぎが今バレてしまうと、話し合いの場まで追いかけてくる可能性があったからだ。
沙絵たちが向かったのは、山間にあるホテルだった。
山道を長い事進むのと、切り開かれた場所に建物が見えてきた。
車から降りると、ホテルの中へ入り6人部屋の和室へ通された。
外には警備の人間を何人も配置させ、マスコミらしき人の対応をさせるよう指示した。
テーブルを挟んで俵夫妻が横並びで座り、栄策と沙絵が向かい側に座る。
龍彦は座椅子を移動させ、中央に座った。
落ち着いて話をしようと、龍彦がお茶を全員分入れて配った。
それぞれがお茶を飲んだところで、龍彦はパソコンと大きな封筒をテーブルに置いた。
「それでは、はじめますかね」
「さっさとはじめてよ。ていうか、アナタたち誰よ笑 夫と不倫しておいて、他にも2人男がいたの?!」
笑いながら沙絵を責める美佳に、栄策と龍彦は自己紹介をした。
「紹介が遅れてすみませんね。渡辺拓です。ただの経営者で探偵みたいなこともしています。今回はこちらの水沼沙絵さんのご依頼で調査させていただきました」
「…ボクは神谷実です。障害者関係の仕事していて、沙絵さんの友人です」
龍彦と栄策は偽名を使い、自分たちがジャッカルの人間とは全く無関係だということを、俵夫妻に話す。
そして、久と美佳、それぞれに偽で作った名刺を差し出した。
「ふ~ん…なーんか、どっかで見たことあるような顔な気がするんだけど…特に渡辺さん?なんか、ジャッカルの社長と似てないかしら?」
美佳の問いに、龍彦は「気のせいですよ。似ている人は世の中にたくさんいますからね」とサラりと流した。
そして、すぐに、話し合いをはじめた。
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