最終章 泥沼の決戦

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「美佳ちゃ~ん、それ以上沙絵ちゃんに近づかないでね~…髪一本でも掴んだら…パソコンの前にいる渡辺さんが…とぉ~っても怖いんで☆」 美佳は、龍彦のことなどお構いなしに強気で話を続けた。 それは、完全に沙絵に対する僻みや嫉妬の感情をぶちまけるだけだった。 「アンタみたいにね、若い時からなんでも持っている女ってムカつくのよね…笑…1回でも不幸のどん底に落として、もがいているのを見てみたかったのよ笑…アンタが不倫して会社までガタつけば、メディアは黙っててもやってくるわよね笑…こんな楽しい事ってないわよね~笑」 栄策がいるが、悪魔化した美佳の饒舌な口は収まらない。 「話の収拾がつかねぇから…沙絵、体借りる」 見るに見かねて話し合いに“影”が再び乱入してきた。 「美佳さん、話はそろそろよろしいでしょうか?あなたの感情ばかり話しては、先へ進むことができないので」 龍彦が美佳に話を一度止めるように言うと、美佳は龍彦の方へ向かって歩き、嫌味や嫉妬の感情は龍彦へ向かおうとしていた。 すると、沙絵の体を借りた智則が話し合いの場に降臨した。 「え…?…努力ぜずに、裏と繋がってただ金を引っ張ってきたババアが何言ってるんだ笑」 「はぁ?裏と繋がってる?…何言ってるの?ババアってなによ!」 沙絵に掴みかかろうとした美佳を沙絵が…いや、智則が抑え込む。 美佳は必死に沙絵に殴りかかろうとするが、完全に畳に抑え込まれ、殴ることができない。 それもそうだ、口調が変わったのは、智則が沙絵の体を借りて喋っているからだ。 久や龍彦は、沙絵の変わりように驚き、この瞬間を見守ることしかできない。 唯一、沙絵に智則が乗り移り、この行動を起こさせていることを知っているのは、栄策だけだった。
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