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栄策がハンカチで沙絵の顔を拭きながら優しく話しかけてた。
「そう…だったの…だけど…」
しーっと栄策は言って、沙絵の口を止めた。
今、沙絵が余計な事を言えば、せっかく智則が収めてくれた問題を蒸し返すことになるからだ。
栄策は、和室の庭園が見える窓の方へ沙絵と一緒に歩き、空を見上げた。
「きっと…智則さんが助けてくれたのかもしれないわね」
途中で記憶がほとんどなく、しっくりこない沙絵は、空を見上げながらぼやいた。
「そう…なのかな…さっきまで、警察にはいかないし、罪も認めないって感じだったのに」
「では、僕たちも一緒に警察へいきます。沙絵さんもきてもらえますか?」
一息ついた途端に、龍彦に声をかけられ、沙絵は背筋を伸ばした。
「わかりました」
「沙絵さん、あなたの心を騙してしまって申し訳ありませんでした…。僕たちはこれから警察にいって、今までやってきたことを全てお話します…」
久は沙絵に向かって、深々とお辞儀をし、謝罪をしてきた。
「もう…終わりなの…?…そんな…」
美佳だけは、どうしても罪を認めたくないと、駄々をこね続けたが、一同は警察署へいき、ことの全貌を話しに向かった。
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