act10 一二三SIDE

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耳にかかる吐息すら刺激になって、身体がビクビクと反応してしまう。 「もしかして……期待してます?」 耳朶を甘く噛まれ、熱い舌が耳孔に差し込まれた。 「や……ッち、違うから! 僕は、別に期待なんて……ッ」 必死に否定して足をバタつかせるが、総一郎の脚に絡め取られてしまって身動きが取れない。 「あれ? でも、ココ……こんなになっちゃってますよ?」 一二三のパンツの前を寛げ、総一郎が悪戯に中心に手を伸ばす。そして、下着越しに先端をクリクリと指先で弄られ身体が小さく震えた。 「あっ、や……っ」 「ほら、昨日出したばかりなのにもうヌルヌルだ……」 「……そ、それはキミが……触るから……っ」 逃げられないように腰をグッと引き寄せながら下着の中に手を入れられ、直接握り込まれる。 「西園寺さんって、やらしーですね。人のチンコ触ってエッチな気分になっちゃうなんて、変態かよ」 揶揄うような低く濡れた声にすら感じてしまい、じわりと先走りが溢れ下着が湿っていくのがよくわかった。 今まで、こんな事一度も無かった。精通こそしていたものの、一二三は性的な事には淡泊だった。 性に無関心だった所為で自慰の経験もほとんどない。定期的に事務的な処理を済ますだけで気持ちがいいとかそんな風に感じたことなど無かった。 それなのに、総一郎に出会ってからと言うもの、総一郎の一挙手一投足に振り回されて、自分の知らない自分ばかりが暴かれていく。 戸惑いを隠しきれずに固まっているうちにあっという間に下肢を剥かれ、足の間に総一郎の膝が強引に割り込んで来た。片足を掬い上げられ足裏に腕を差し入れて開かされ閉じられないように胴が差し込まれる。 総一郎と壁に挟まれた窮屈な体勢で剥き出しになった一二三の熱に総一郎のそれが触れた。 「ちょ、な、なにをっ?」 「しっ、大きい声出さないで。他のスタッフに気付かれますよ」 覆いかぶさるようにして耳に囁かれ、慌てて口元を掌で覆う。 「……っ、で、でも……何をする気だ」 もしかしてこのまま……? 不安げに顔を上げると。総一郎が額に軽くキスをしてくる。 「気持ちよくしてあげるだけですって。ほら」 言うが早いか、片手で総一郎の昂ぶりと一つに握られ、一二三は息を飲んだ。 「あ……っ、うそ……ッ」 信じられない。 こんな……いやらしい事を、自分達がしているなんて。 互いの性器同士を触れ合わせるなんて、考えた事もない恥ずかしい行為に頭が沸騰しそうだ。
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