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帰宅部として三年間過ごした高校生活を振り返ると、ぼくの成し遂げたことはアルバイトくらいだった。
母の収益も、歴代の父から投げ捨てるように渡された小遣いも、最低限の生活を送るのにさえ不十分な額だった。したがってぼくは、高校生活に必要な諸費用、自分の食費、大学進学のための貯金を、すべてアルバイトで稼いだ。
入学したての頃はコンビニで働いた。放課後から午後十時までの時間をすべて費やすくらいの勢いでだ。たまに母から金をせびられたが、男遊びのために使うことは火を見るよりも明らかだった。ぼくは母からの要求の声が止むまで、部屋の端で丸くなって無視した。
最終的に無視が効かなくって渋々お金を渡しはじめた時期に、件の「クラスメイト失踪事件」も発生した。
“昔々あるところに、三匹の高校生がいました。背が高い金髪の不良少年、がたいのいい野球部の少年、そして絵に描いたようなギャル。三匹はだいたい一緒につるんでいて、どんなときも大きな声で話すのが特徴でした。
高校二年のある日、三匹は同じ教室にいる一人の少年に目をつけました。その少年はなにかの拍子で折れてしまいそうなほど細い体躯をしており、前髪で目が隠れているため表情もよくわからないへんてこな見た目をしていました。
しかし、少年はほぼ毎日働いており、同じ高校の誰よりも稼いでいました。そのことを知っていた三匹の高校生は、ある恐ろしいことを企みました。
なんと、夏休みを満喫するため、そのか細い少年から収入をむしり取ってしまおうというのです。
数日後、三匹の高校生は、計画通り少年の財布を空にしてみせました。
しかし、因果応報というべきか、三匹の高校生と強奪されたお金は、その日を境に姿を消してしまいました。
はてさて、それらはどこへ行ってしまったのでしょうか。旅先で事故にでもあったのでしょうか、それとも、永遠の夏休みに囚われてしまったのでしょうか。真相は誰にも理解できません。”
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