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「今この時でさえ、僕たちが血の繋がった兄妹だから許されているに過ぎない。それでも形式上〝王妃からの招聘に応じた〟としているんだ。不便で窮屈だし、フィアナの申し出はとてもありがたいけど、この形を僅かであっても崩すべきじゃないと思う」
ならばどうするのか、と頭の片隅で問いかける己の声が聞こえるが、アシェルは兄として、臣下として一線を曖昧にする気は毛頭ない。ドクリ、ドクリと心臓が早鐘を打つ。
「フィアナ、陛下に〝顔合わせの茶会をと話が出たがアシェルが頑なに嫌がって、ノーウォルトにもソワイルにも勝手に断りの返事を出したようだ〟と申し上げてくれ。義姉上にも、ロランヴィエル公爵にも僕からそう伝える。兄上も、カロリーヌ義姉上にそうお伝えしてください」
何度話を持ってこられようと、何度もこうして断りを入れる。これで茶会の話は流れるし、城の一室を借りる必要もカロリーヌが頭を悩ませる必要もない。そうだ、こうすればなんの問題も無いではないか。
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