ありあまるほどの、幸せを

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「ソワイルとロランヴィエルのどちらでやるか決まってから招待状を出す予定だったみたいだから、まだ陛下もフィアナもこの話は知らないだろうね。このまま話自体が流れてくれればいいのだけど」  メリッサの性格上、そんなことはあり得ないだろう。彼女はなんとも貴族らしい貴族なのだから。 「……フィアナの予定を確認しなければなりませんが、一度相談してみますか? 陛下とフィアナが公務などで参加できないという可能性は充分にありますから。公爵の方も連隊の仕事でお忙しいと言えば不参加も可能でしょう」  ただ、それをアシェルとジーノの独断で偽るのは、相手が国王や公爵である限り不可能だ。最悪は不敬罪に処されてしまう。そんな危険を冒すくらいならば、事情をすべて妹に話して動きを合わせた方が良い。妻を溺愛するラージェンならば、フィアナの言葉を聞かないわけもなく、ルイも今のところはアシェルの意志を尊重してくれているのだから、アシェルが行きたくないと言えば仕事だろうがそうでなかろうが、話は合わせてくれるだろう……多分。
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