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「確かに、陛下とロランヴィエル公爵が参加しないなら、お茶会の意味が無いし諦めるかな? 執事を連れてきているから、今からフィアナの予定を確認するよう城に行ってもらうよ。その返事次第になるだろうけど、アシェルも一緒に行こう。あの式典の日から、ずっとこのお屋敷にいて外に出ていないって聞いたよ。そういうのはあまり身体によくない」
アシェルは元々活発に外へ出る性格ではないが、流石にこう長く屋敷に引き籠っているとなると兄としては気になるのだろう。もしかしたら今回ジーノがわざわざやって来たのは、メリッサの招待状を渡す為ではなく、引き籠っているアシェルを外に出すためだったのだろうか?
「必要がなかったから出なかっただけで、用事があればちゃんと出ますよ」
「用事が無くても少しは出なくては。もしもロランヴィエル公爵があまり部屋から出ないように言っているのなら、私が公爵に交渉するよ?」
ルイがアシェルを閉じ込めているなどとは思わないが、車椅子で、モノクルで補っているとはいえ片目が見えづらくなっているアシェルを心配するあまり無意識に行動を制限してしまうというのはよくあることだ。アシェルの足が動かないと知った時、フィアナが心配のあまり城へ閉じ込めようとし、ジーノとラージェンに説得されたのは記憶に新しい。だが、アシェルは兄の予想を否定した。
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