ありあまるほどの、幸せを

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「私は休みだし、アシェルも仕事を辞めたからね。フィアナが許す限りは一緒にいられるよ。もっとも、少し面倒なことが起きたから、他愛も無いお喋りができるかどうかは、わからないけれど」  己が許す限りはずっといられるという言葉にパァッ、と瞳を輝かせたフィアナは、しかしジーノの言う〝面倒なこと〟に眉尻を下げた。その時、室内にノック音が響き、侍女が昼食を持ってやって来る。その中にはいつの間にか側を離れていたエリクの姿もあった。 「せっかく来てくださったのですもの。お兄さまたちと沢山お喋りしたいですから、その面倒な事とやらをお話ししてくださる? 私に解決できることでしたら、すぐにいたしますわ」  さっさと終わらせて兄妹の時間を過ごしたいというフィアナに苦笑していれば、エリクが静かにスープの皿をアシェルの前に配膳した。 「ん? エリク、これは……?」  フィアナが命じて用意してくれたのだろう昼食は三人とも同じ内容だ。だというのに、どうして自分の前にだけスープが出されたのだろうと首を傾げる。そんなアシェルに、エリクは〝公爵様からのご命令でございます〟と告げた。
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