二人の婚約

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二人の婚約

「由香ちゃん達かな?」と朝陽が玄関に向かう。 「ママ〜パパ〜来て来て〜」の声に、全員が玄関に向かった。 そこには、赤い薔薇の大きな花束を抱えた由香子が立っていた。 泰斗さんが照れたような顔をして「今、プロポーズしたんだ」と告げた。 「「ええ〜!!」」と家族はびっくり!!。 「とにかく中に」とお父様が言うので、興奮冷めやらない一同はリビングに移動。 事の次第を聞くと、私達が結婚する前から由香子の事が気になっていて、私と輝さんの結婚が決まり、これは近づくチャンスと思っていたらしい。 そしてあの事故。 もう二度と会えないかもしれないと思った瞬間に、一日でも多くそして長く一緒にいたいと思ったと話してくれた。 薔薇の花の数は、ネットで話題になっていたので絶対に108本と決め花屋に注文したようだ。 花屋さんには「この時期は薔薇の花は高いんですけど、それでもよろしいですか?」と聞かれて「金額は問いません」と即答したんだって。 指輪も用意してあったと言うので「サイズがよくわかったわね」と早苗さんが聞くと「病室で寝ている時に、こっそり測った」と、これまた恥ずかしそうに答えていた。 織田島の両親は、二人も小笠原家に嫁ぐ事になるとは思っていなかった?はずはない。 あれだけ由香子の事を大事に思い行動するのを見ていて、これは近いうちにと思っていたようだ。 「由香子、おめでとう。泰斗くん、由香子をよろしく頼む」と両親が頭を下げて、小笠原の両親にも「今後ともよろしくお願いします」と言うと、「こちらこそ宜しくお願いします」とお互いに頭を下げている。 そんな光景を眺めていたら、何となく輝さんの様子がおかしい。 「輝さん、どうしたんですか?」 「え?ああ、俺はめぐみにプロポーズする時に何もしなかったな。泰斗を見てプロポーズは女性にとっては一大イベントなのに、すまなかった」と頭を下げて来る。 「そんな事、全然気にしていませんよ」とら答えたものの、輝さんは沈んだまま。 光さんも「輝、まさかお前」と絶句。 早苗さんは苦笑。 お母様も「まぁ、輝それはないわ」とダメ押し。 そんな雰囲気を変えたのは、3人の子供達の「たいちゃんと由香ちゃん、おめでとう。クリスマスおめでとう」の声とクラッカーの音。
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