織田島家

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織田島家

輝くんからの連絡が来た時は、由香子と今後のことについて相談しようと思っていた。 このまま、めぐみの意識が戻らなかった場合、この家で在宅治療ができるかどうか。 できるとしたら、訪問治療をしてくれる病院をどこにしたらいいかとかを。 意識が戻ったと聞いてホッとして、一気に張り詰めていた気持ちが緩んだ。 由香子も妻も同じだったようで、明日一緒に病院に行くと言う。 由香子は特に、あの時に一緒に乗っていたから、顔を見ないではいられないのだろう。 言葉には出さなかったけれど、夜も眠れなかったようだ。 「お父さん、明日ね泰斗くんが迎えに来てくれるって」と言う声にも明るさがある。 泰斗くんにも、いろいろと心配してもらったなぁ。 輝くんと結婚してから、めぐみは良いことがない。 結婚させて良かったのかと妻と話した事もあるが、こうして輝くんや泰斗くん、小笠原の両親や光さんが、めぐみや由香子、そして朝陽の事を本当によくしてくれるのでありがたい。 明日は、小笠原の両親も病院に来てくれると言うので、同じ時間に行くことにした。 今夜は、少しだけ晩酌をしようかと、妻に声をかけると「準備できていますよ」との事。 「私も飲む〜」と言う由香子には「まだ、ダメ」と言い「ノンアルコールなら良いわよ」と許可を出していた。 久しぶりに笑いのある食卓を囲い、ゆっくり風呂にも入り何も考えず寝られるのは何日振りだろうか。 「明日は、めぐみの好きなシュークリームを持って行こうか」と話している妻と由香子に「先に休むよ」と声をかけてベッドに入った。
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