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ユキエとの再会
「こんにちは。お久しぶりですね。」と声をかけられ振り向くと、そこには5年前に私から彼を奪い去った今野ユキエがいた。
「何か、ご用ですか?」と答えはしたものの、今更なに?と思った。
「少しお話がしたくて待っていましたの」と言うではないか。
私には話しなんてこれっぽっちも無い。
断ろうとした時に「朝陽君のことで」とユキエ。
「朝陽のことで?」何で名前を知っているの?
とりあえず近くのカフェに行く事にした。
「話って何でしょうか」
「あなたに謝まろうと思いまして」と。
謝るねぇ。どれに対して?と思っていると
「私は、輝さんとどうしても結婚したかった。だから子供ができたから別れて欲しいって貴女に言いましたよね」
確かにそう言って、別れなければ実家の商売を出来なくすると言ったわねぇ。
「貴女は、すぐに輝さんの前から姿を消した。輝さんは、貴女が居なくなって探し歩いていたわ」
輝さんが私を探してた?まさか信じられない。
「嘘だと思うでしょ?もう何年も探しているわ探偵を使ってね」
それならもう見つかっているはず。
「報告書は、私が全部隠していたの」
あーそう言う事ね。
「先日、朝陽くんの入園式の写真の入った報告書が見つかってしまって。輝さんがこれはどう言う事?と聞いてきたわ」
そうユキエさんは言ってから、大きなため息をついた。
今までの報告書を出すように言われて、全部出した時に「こんなに」と言って部屋に篭ってしまったようだ。
「輝さんは、朝陽君の写真と貴女の写真をずーと眺めて泣いていたの」
報告書が自分に届かなかったのはなぜかと問われて、お金を使って私に渡すようにしてあったと答えたら、何も言わずに出て行ってしまったとユキエさんは俯いた。
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