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来栖くんはガタイがよく髪も金髪で第一印象は正直少し怖かったのだが、すぐに不器用だけれど真面目で優しい人であることがわかった。
「お疲れ様。皆喜んでくれて嬉しかったね・・・でも私はまだ満足してないんだ。」
「自分もです。もっとよくなる・・・いや、よくします。」
「頑張ろうね。じゃ、また金曜日の練習で。」
踵を返そうとすると『あの・・・!』と呼び止められる。
「ん?」
「あの・・・明日誕生日ですよね。」
「えっ、そうだけど言ったっけ?」
「秋に皆で焼き肉行った時、先生が『アタシ、29日生まれなんだ~。』って言ってて、武田さんが『うちも~。』って手を挙げてて、叶未さんも『あ、私も。』って言ってましたよね。あと先週練習始まる前、南さんに『かなみん髪きれ~い。』って褒められてて『今月誕生月で美容院からバースデークーポン届いたから、スペシャルなトリートメントしたんだ。』って返してたので、2月29日なのかなって。」
「うん。そうなの。よく覚えてるね。来栖くん記憶力いいもんね。」
「そんなこと、あ、あの、これ・・・お誕生日おめでとうございます。フライングですけど。」
来栖くんは頬を染めながら花束を差し出してくれた。
「え・・・。」
「じ、自分、花渡すのとか・・・そもそも女の人にプレゼントとかしたことないですし、初めてで何をどうやって渡したら喜んでもらえるのかって、ネットで調べれば調べるほどわかんなくなって・・・迷惑にならないように、大きくない、匂いが強くないものを頼んだんですけど・・・好みじゃなかったらすみません。」
「ありがとう!すごく嬉しい。かわいいね~。」
花束を受け取り覗き込んでいると強い視線を感じた。
「叶未さん、自分、ずっと言いたかったことが・・・自分、叶未さんのこと・・・」
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