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一瞬、3年間付き合っていた風凛くんが家にいるのかと思った。でも渡していた合鍵は返してもらっていたのでこの部屋に入れるわけはないし、そもそも目の前にいる彼はパラレルワールドで出逢った風凛くんに見える。見た目は二人とも同じだけれど、表情やかもし出す雰囲気が彼のそれなのだ。
───夢だよね。でも・・・。
この世界に戻ってきてから何度かあの世界で一緒にいた風凛くんの夢を見た。でもその時の感覚とは明らかに違う。そう、4年前、パラレルワールドに行って彼と出逢い、これは夢だとばかり思っていたのに違っていた、あの時と同じようなこの感じ。
───もしかして私、またパラレルワールドに・・・!?茉結、研究やめたって言ってたけど、実は続けてたの・・・!?でも私、昨日はお酒飲んでないし昏睡状態ではなかったのに・・・。
「・・・叶未っ!!」
混乱していると風凛くんに乱暴にぎゅうううっと抱きしめられた。ほっとする柔軟剤の香り。
───やっぱり、あの風凛くん!じゃあ私、本当にまたパラレルワールドに・・・!また誕生日に・・・!
4年に一度来る2月29日には不思議なことが起こるのだろうか。
壁にかかったカレンダーに目を向ける。この世界では2月も31日まであるはずだ。
「えっ!?」
目を疑い何度も確認する。何度見てもカレンダーには29日までしかなかった。
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