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「『バレちゃう』ってお前、俺たちのこと、知って・・・?」
「まぁ僕たちは特別な仲ですから。ね、カナちゃん。」
「え・・・?」
風凛くんはかなり動揺した様子でこちらを見てくる。
───ど、どうしよう・・・!
「同期の中でも仲良いってことですよ。僕とアリサとカナちゃんと受付のマユちゃん。」
「なんだ、そういうことか。」
風凛くんと共にホッとした私だが、次のミコトくんの言葉で取り乱すことになる。
「ねぇカナちゃん、あの動画、風凛先輩に観てもらおうよ。」
「あの動画って?・・・!!」
───まさか、だって、あの控え室の動画見せたら、ミコトくんだって大変なことに・・・!!
私が思っていることがわかっているかのように、ミコトくんはニヤリと笑った。小悪魔なんて可愛らしいものじゃなかった。
「僕の声入ってるところはカットしたから大丈夫だよ。手は入っちゃってるけどね。」
そう小声で耳打ちしてからスマホを取り出して操作している。
「お願い!ミコトくん!やめてっ!」
「えーなんで?すごく可愛いのに。」
「俺、観てーな。」
風凛くんはミコトくんのスマホを覗き込んでいる。
「だめっ!観ないで!」
私は平均的な身長だけれど二人は長身なので、必死にジャンプをしてスマホを奪おうとしても軽々とかわされる。
「ほら、これですよ。」
「おい・・・なんだよこれ!?」
風凛くんが鋭い声を出す。
「やめてええ!」
私と風凛くんはお別れした。そもそもこの目の前の彼と私は付き合っていない。でも体を弄ばれて声を上げている恥ずかしい姿なんて見られたくなかった。その場に力なく座り込み目をギュッと閉じて手のひらで耳を塞ぐ。
───元の世界じゃなくてもいい。茉結が言ってた『次元の狭間』でもいいから、今すぐ私をどこか他のところに飛ばして・・・お願い!
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