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数秒経って恐る恐る目を開けて風凛くんを見上げてみると、頬を上気させ画面に見入っていた。疑問に思い耳を塞ぐ手のひらを外してみる。
「かわいい・・・。」
風凛くんは打ちのめされたかのようにつぶやいた。
「でしょ?はにかんで踊ってるとこがまたそそりますよね。あ、ここ見ててください。」
「あ、間違えた・・・かわいい。」
───踊ってる?間違えた?・・・あ。
よく聴いてみると、ミコトくんとアリサの前で余興として茉結達と踊ったアイドルの曲が流れていて、アリサの『皆かわい~!』という歓声が聞こえホッと胸を撫で下ろす。私はダンス経験者だからセンターになるよう頼まれたのだった。
「この動画シェアしてくれ。」
「いいですよ・・・あれ、間違えてこの後に撮った控え室での動画シェアしちゃった。」
「!?!?!?」
「ん?なんだこの動画。」
「観ないでっ!!!」
風凛くんに近づきスマホを奪い取ろうとすると、彼との間に『まあまあ、カナちゃん。』とにやついたミコトくんが立ちはだかる。
「風凛くんだめっ!!観ないで!!」
風凛くんのスマホから『あ・・・あん・・・。』という声が聞こえてくる。
───終わった・・・。
ホッとしたのも束の間。私は再び膝から崩れ落ちた。
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