218人が本棚に入れています
本棚に追加
風凛くんのその気遣いは優しいものでは全くなくて、ますます私を惨めにするだけだった。彼の罪悪感を埋める為の自己満足な選択に過ぎないと思った。
そう思ってしまったら、今までの3年間にもそのようなことがあったことに気がついた。
風凛くんはイケメンで優しくていつも私のことを考えてくれていたように思えたけれど、しばしば彼の言動が何だが現実離れしているように感じたこともあった。
けれど、それは彼の可愛らしいところなのだと、私だって駄目なところだらけなのだから、完璧を求めるなんてお門違いだと思っていた。
でも、風凛くんが漫画やドラマに出てくるような『王子様』を演じようとしていたのだと思うとしっくり来たのだ。
相手が誰であろうとそれを追い求めて、私のことは見ていなかったのかもしれない。
───そして彼が素の自分で接していたのが梨衣乃だったのかも・・・私達の 三年間ってなんだったんだろう・・・でも結婚しなくてよかった・・・これでよかったんだよ・・・。
最初のコメントを投稿しよう!