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「ふ、風凛くん・・・!?」
「もし、あの叶未が戻ってきても、俺はうまくやっていけないと思う。お前のこと思い出しちゃって。」
「そんなことないよ。きっと・・・。」
もしあの私が戻ってきたら、ミコトくんとの関係を再開するのだろうか。
「俺、お前とならベッドでも自分自身を出せた。前はあんな風に出来なかった。それを受け入れてくれて嬉しかった。」
───ここの私はミコトくんに、風凛くんでは物足りないと言っていたんだから、きっと今の風凛くんとだったら夜もうまく行くんじゃないかな・・・。
過激な下着を身に付けた彼女が風凛くんと戯れるところを想像すると胸がえぐられるようだった。
───彼女は風凛くんを裏切っていたのに・・・。
彼女は風凛くんにふさわしくない、そんな想いが浮かんでくる。
───茉結も私にここにいてほしい、と言ってくれた。彼女自身も別の世界から来てここに定住してる。私はミコトくんのことさえ何とかすれば、ここで幸せに暮らせる。夢にまで見た風凛くんとの結婚。一度壊れてしまったその夢が、彼との未来が、今度こそ叶うかもしれない。
高齢で私たちきょうだいを生んでくれた両親は一番下の弟が高卒で社会人になる頃相次いで亡くなっていた。だから元の世界に戻れたとしても両親にはもう会えないのだ。きょうだいも皆離れて暮らしているし元の世界には未練はなかった。
「私も・・・」
『私も好きだよ、今まで出逢った中であなたが一番好き。』その言葉を言ってしまっていいのだろうか。このまま、この風凛くんの腕の中を自分の定位置にしてしまっていいのだろうか。
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