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今日は一段と寒い。
スーと流れる冷たい風が、頬を撫でる。
今日も、こんな時間。
どんなに頑張っても、追いつかない仕事の量。
定時で上がっていく同僚たちの背中を見送るのは日課のようになっていて、
いつも戸締まりをするのはミコの役目のようになっていた。
それでも、なんとなく仕事をして。
なんとなく、やり過ごして。
なんとなく、毎日が楽しくなくなった。
「……冬、早く終わらないかな」
まだ始まってもいない冬が終わるのを、いつの間にか待っている自分に嫌気が指す。
重い足を前に進め、アパートの階段を上がり、部屋の前に着くと、そこに違和感を感じた。
それがなにかわからないが、首をかしげつつミコは部屋に入った。
ドアを開けると、やはりなにかが違う。
なんだろう。
少し温かい空気に違和感が増す。
ゆっくり前に進み、リビングに入る。
電気をつけた。
部屋見回すが、 そこには誰もいない。
トイレや、風呂場、クローゼットも一応見たが、やはり誰もいない。
気のせいだったのだろうか。
さすがに残業続きで疲れてるのかな。
もう若くないことを痛感させられる。
ミコは気味悪さを感じつつも、コートを脱ぎ、キッチンへ向かう。
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