己を守る術

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慌ただしく到着すると、社長は涼やかな顔で言った。 「おはよう、遅い。 蓮、前にも言った。お前は、行動が遅い。 時間に遅れると言うことは、商談に失敗すると言うことだ。何度言えばわかる。」 「すみません。」 蓮の顔は強張っている。 頭を少し下げたまま、怯えた目になっている。 「華、お前にも言っておく。時間に1分も遅れるな。 時間に遅れると言うことは、商談に失敗すると思え。相手はほとんど外国人だ。言葉が曖昧になることもある。そんな相手との商談は時間にルーズな奴はいらない。いいな。」 「はい。」 返事はそれしかない。 昨日のアクセサリーは、目立って嫌味に光っている。 こんなもの貰わず、やめればよかったと思った瞬間だ。
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