己を守る術

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「華、こんなご時世だ、俺といると危ない目に合う。合法の範囲はこれくらいだ。好きな物をいくつか選べばいい。」 驚くことではなかった。 殺人が合法化されたような世の中。銃以外は持ち歩くことが合法化されている。 ニュースになるのは凶悪な殺人や、著名人に関わる殺人だけになって来ている。 その辺のオッサンが死んだぐらいではニュースにならなくなった。 「選べるか?」 眺めてみても何が必要かなんてわからなかった。 いくら殺人について寛容な世の中になったとはいえ、護身用に武器を持ち歩く人は少ない。 四六時中持ち歩くのはヤクザか何か、その辺はまだ変わらない。 ただ、著名人やお金持ちにSPをつける人も増えているのが現実で、例えばこの瞬間にどこかで誰かが殺されてもおかしくない世の中になりつつある。 「俺が選んでも構わんが?」 社長を見る。やっぱり笑ってる。 全く心の中がわからない人だ。 私が自分ですぐに選べるわけがないのに。
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