己を守る術

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「じゃあ、これでいいよ。」 渡されたそれ。 持った事のない物だ。見たことすらない。 物騒な世の中、持ち歩く想像すらしたことがなかった。 近寄らなければ自分には無縁の世界だと思っていたからだ。 「怖いか?」 見下ろす社長の目は、笑っている。 「このくらい序ノ口だ。 いずれ他にも必要になる。 俺の側にいる限りな。」 「蓮は、何を持っているんですか?」 「念の為に銃は持たせてある。 元警官だからな、使い方も熟知している。」 背筋が寒くなった。 馬鹿にしてはいけないと初めて思った。 蓮は常に優しい。 でも、それは社長の指示であり、社長がいるからだ。
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