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社長から目を逸らすなんてできなかった。
その目は優しかったからだ。
言っていることは恐ろしいことなのに、その目は優しくて、まるで頬に手を当てられているようだった。
「聞いてんのか?」
声も出ず、首を何度も縦に振って答えた。
急に鼓動が速くなる。
「よし、力抜け。」
固まってしまった手は全く動かなくなっていた。
「華!手を離せ!イテーだろ!」
「わぁ!!」
思わず万歳してしまった。
「アブねーだろ、見ろ!手が真っ青だわ。
物には限度ってもんがあるだろ。
どんだけ力込めんだよ!」
「だって社長が…」
「声が小せー!!」
「はいっ!!」
彼の手が顔の前、鼻をギュッと掴まれて
「お前な、…、世話がやけるわ。」
そのまま、力一杯掴まれて、目を瞑ってしまった。
「目閉じるな、開けとけ。
言ったことわかってんのか?
刃物を向けられたら、目を瞑るな。
目を瞑るのは、キスする時だけにしとけ
あとは、男に抱かれる時だけだ
いい加減にしろ!」
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