己を守る術

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社長が選んだナイフは、シンプルな物だった。 でも、恐ろしく見えるのは、刃の部分。 ギザギザになっている。 おでこに冷たい物が出て来る。怖い。 「ビビるな。お前は女だからだ。 殺傷能力重視。一撃で相手は傷を負う。 痛みに震える。掠めるだけで勝ちだ。」 社長は、私の手にナイフを握らせた。 震える。後悔した。 「やめる?」 蓮だった。後ろから聞こえた。 挟まれている。 「いずれ、こう言う時が来る。 お前が俺と関わった事は広まってる。 今ならまだ間に合う。でも、明日はわからん。 やめるなら今だ。明日からは別の方法にする。」 蓮の気配が一歩前に出た。 意味が飲み込めない。 「別の方法って、何ですか?」 声すら震える。 見上げた社長の顔は、さっきと違う。冷たい。
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