己を守る術

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もともと、そんなに長くはない髪。 あっという間に短くなった。 男性ほど短い髪ではないけれど、後ろ姿は男にしか見えない。 長めの前髪で顔が隠れると、性別が不可能に見えて来る。 「上出来だ。それでいい。 気になるようになったら、ここへ来ればいい。 またこいつが切るから、他へは行くな。 いいな、他へは行くなよ。」 「了解しました。約束します。」 奥の一室へ入って行っただけだった。 美容院みたいに、設備があるわけじゃない。 ただ切ってもらうだけの場所。 一面の壁に鏡があって、最低限のものがあるだけ。 テーブルと椅子、他には何もない。棚すらない。
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