9人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
僕がこの異世界ダンジョンの最速攻略を目指したきっかけは先述の通り、お風呂場で命を落としたことに端をなします。
気が付くと真っ白な部屋で、美少年の前に立ってました。
ロロ口マムシ、神様だそうです。
「いやぁちょーどデバッガー探してたんだよー。よかったよー死んでくれて」
二徹の原因です。一応新人という事で期限は緩めに設定されていたのですが、趣味がRTAだった事もあり夢中で不具合を探してしまいました。きっと今頃会社の人も首を傾げていることでしょう。本当に申し訳ない。
「新しぃ世界つくったからデバッグお願いねぃ。ダンジョン攻略できたらチートだらけで別の世界送ったげるよぅ」
そんな訳で、こんな状況。
異世界に堕とされる際に神様より賜った『反復転生:蝉』というスキル。
死亡、あるいは7日間生存で転生時にリセットされる。というもの。
そのまま異世界に送ると地道に攻略してしまうだろうということを危惧したものと思いますが、これが寧ろヒントになりました。
転生前の世界ですら、科学を実装し忘れたような場所が存在するのです。
ましてやわざわざデバッグを依頼してくるなんて、その世界とやらがガバガバである証明に他なりません。
一度目は普通にプレイしました。7日間では絶対に攻略し得ない事実を以て、この世界には必ず『粗』があることを確信した次第です。
壁を擦り床に飛び込み柱に爪を立て部屋の隅をつつき…
4周したところで『壁抜けバグ』を発見しました。
その周回では城に篭もり、あらゆる壁をあらゆる場所で触れてみるという、聖職者すら地獄行きを告げる粘着プレイを行い、転生時イベントをスキップする方法を発見しました。そのままダイレクトにダンジョンに侵入するショートカットを発見したのもこの周回中です。早々にコツを掴めたのが大きかった。
繰り返しますが、そんな訳、こんな状況。
もろもろ確認した後、僕は『Any%』でダンジョン攻略RTAを走りはじめました。
理由は単純で、早く攻略を終えれば、猿人族の、しかもソロでダンジョンを攻略した英雄としてちやほやされる時間が長引くからです。
好き放題に散々遊び散らかしたって、七日後にはチート持ちで別の異世界。
モチベーションが有頂天なのもご納得戴けることと思います。
ストップウォッチを所持していないので体感時間にはなってしまいますがそこは元RTA走者、そこそこ正確なランである自負はあります。
さて雑談もそこそこに、ダンジョン攻略の解説へと戻っていきまっしょーう。
最初のコメントを投稿しよう!