ダンジョン攻略RTA

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 とりあえず第八王女は手に入りません。大事なことなのでもう一度。彼女のお乳は揉めません。  まあ報酬もなんも聞かずダンジョンに潜りはじめているのでこれはしょうがないですね。  RTAを走りはじめる前にどうして気が付かなかったのか。計画にも穴はあるんだよなぁ…。  因みに一日目を普通に過ごし、話を全部聞いたうえでダンジョンを攻略しても全くのドントタッチミー。王女の将来を憂いた王様にすーぐ暗殺されます、世知辛いね。  だったらとっとと壁抜けて『ありのままの宝珠』を盗んでダンジョン潜れよ、なんて思う方もおられるかも知れませんが、そうは問屋が卸さない。  この宝珠はお城の地下室、宝箱に収められているのですが、その宝箱を中心に球形にバリアが展開されており、そのバリアに触れると聖なるパゥワゥで肉体が消滅するのです。じゃあ僕はなんなんだよって感じです。陰キャだからでしょうか。  何より宝珠は宝箱に収まった状態だと効果は出ず。  よって、翌日に王様から賜るまでは手に入れる事が出来ず、またダンジョン攻略お祝いイベントも回避出来ないのです。  どうやらこの宝珠は貴重なもので、かつ、王国には裏ダンジョンを攻略する旨味も特にないようなので、普通に部屋で寝ていると、やはり暗殺部隊を差し向けられます。  宴にて料理の毒を回避し、未成年と嘘をつき酒も回避する。  充てがわれた部屋の前で「では明日」と扉を閉めるがいなや『壁抜けバグ』でダンジョンに潜伏します。城の外に抜けるだけでは駄目です。門番がガチガチに警護しています。  毒虫を倒し多少レベルが上がっているとはいえ、完全に安全地帯と呼べるのがクリスタルの部屋しかないのでそこで一晩過ごします。  翌日、大衆が見守る状況で顔を出さないと捕まり次第斬られるので、クリスタルに祈りを捧げながら長いお昼寝。  起きます。一旦戻ります。城の前に出ます。状況みます。  まだ早い。捕まる前に戻ります。  そうして地上に出たり入ったりしながら時間調整して、いい感じのところで意気揚々と王の御前へ。  皆が視てるので引くに引けなくなった王様が、苦虫を噛み潰したような顔で『ありのままの宝珠』を渡してくれます。  恭しく膝を付き、宝珠を抱えたまま膝をこっそり擦る。  そうです。尻が早いってだけで、膝でも抜けられます。条件次第で調整がちょっと難しいですが。  衆目の中、突如地面に沈む僕。  向かう先は、城の地下室。  バリアに包まれた宝箱の前に立ち、腰に着けた『j5¥゜ポポ』で回収します。  この世界の『j5¥゜ポポ』、表記がバグっていなければ『ふくろ』という腰装備は多分マジックバッグとかそういうもので、無生物かつ、ある程度の大きさのものであれば、目で視て頭の中で指定することで触れずともアイテムを回収することが出来るのです。わぁお、なんてファンタジー。  取り出す時は触れなければならないので、片手は犠牲にしなければなりませんが、これで聖属性の攻撃方法を手に入れました。なんで皆これ持って潜らないんですかね。  ここから裏ダンジョンに向けて、真っ直ぐ潜ると大体5時間程度で最下層のクリスタル部屋に辿り着けます。  最早親の顔より見慣れた壁のテクスチャ。カタルシスに咽び泣きながらも恙無く最下層の部屋に到着。いやっふぅ!  裏ダンジョン最下層。クリスタルの部屋にて昇る位置を調整。  心拍数がヤバいので少し休憩です。  ここから『壁抜けバグ』で上の階に昇って、裏ボスの出現場所で共に湧きます。  部屋に上がったら即座に『j5¥゜ポポ』から『':%かえ]11』を取り出して飲み、返す手でバリア付きの宝箱を取り出してゲームクリアです。ザコ相手にめっちゃ練習しました。安定するまで何度再走したか。 「これが済んだら僕、異世界でハーレムつくるんだ…」  ちゃんと死亡フラグも立てました。  良しっ!と意気込んで立ち上がり、これが最後と壁に尻を擦り付ける。  視界が急激にブレて、壁に吸い込まれた…
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