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単独で玖坂の城へ登場した兼景は、最初からそのつもりだったのかもしれない。そう疑えるほど、昨晩よりも猛々しく、血潮を巡らせている立派な槍がそこにあった。
「なんだ雪乃、あれが欲しいのか?」
背後から腰を抱え込むように、指を埋めてくる元史の声が雪乃の耳たぶをかじる。
元史の指はわかっているに違いない。
泉から湧き出た蜜は卑猥な音を立てて、素直に欲を求めている。
「はい……ッ…欲しいです」
鎧を脱いだ二人の男の中央で、雪乃は膝を立て、自らの秘部を惜しげもなくさらす。そして、次の瞬間。元史と兼景が思わず息を呑むほどの妖艶な笑みを浮かべて、こう言い放った。
「天下を治める方の子種を注いでくださいませ」と。
「………ふ、はははは。これはいい、雪乃。では、兼景ではなく俺のを受け入れろ」
「ふざけるな、元史。そこをどけ」
「どちらがふざけているか。見ろ、兼景。雪乃はうまそうに俺のを食っている」
「まずはその指を抜け」
「それは出来ん。なあ、雪乃?」
背を預ける元史の言うとおり、雪乃は膣に埋まるその指に、溺れ、腰を浮かせて涎を垂らしていた。すでに元史の指は、付け根まで雪乃の穴に差し込まれ、出入りする度に白く泡立っている。
「ァッ……ぁあ、はい……出来ませ、ンッ……抜かないで、ァッ」
「兼景に見せてやれ。俺の指で果てる顔を」
「んっ、ァッはぁ…はぁ…兼景さま……私、達してしまいまッ、何を……ンッ……ぅ」
「雪乃、見せるのは俺にではなく、その無礼な男の方にしておけ」
「キャツ、やっ……ッあ……アァぁ」
ばらばらと穴の壁面を擦る元史の指は心地良い。それでも無理矢理腕を引かれて転がされた先で、うつ伏せのまま馬乗りになられた刺激には敵わない。
「乱暴はおやめに、な、ヒッぐ…ッ…ぅ……兼景さまぁ…ッく…イッてしまいま、す……ァッ…ァッあ」
足をピタリと閉じ、縦長でうつ伏せにされた状態では、畳に爪を立てて逃げることも出来ない。臀部を開き、無理矢理割り入った兼景のイチモツは、雪乃の子宮に、天下は自分だと刻み付けるため、何度も出入りを繰り返していた。
「アッあぁあ兼景さ、まぁ……ッ」
まばらに踊る雪乃の黒い髪が畳に散らばる。散らばるたびに、パタパタと愛らしい音を立て、激しい腰の突き上げに泣き声を漏らしていた。
「八香姫とはいえ、雪乃も所詮、女。兼景ごときに突かれて、やすやすと達するか」
「ァッ、ぁ……元史さ、ま……ぅ…ァッ」
「よい。見せてみろ。後世までの語り草にしてやる」
「見せてやれ、雪乃。掻き出せぬほど奥に、我が子種を注いでやる」
「待…ッ…ひぁ…ァあぁ、兼景さ、まぁ」
一人に見つめられ、一人に犯される様を必死に理解する。
感じる、感じないの二択であれば、雪乃が快楽から逃れる術はなく。また、それは兼景にも同じことが言えた。激しい腰のぶつかり合いが数刻続き、やがて子宮が絶頂に鳴く頃、昨夜、抱いた証である赤い花が散らばる雪乃の背中を見下ろしながら兼景も同時に果てる。
長い余韻に跳ねる身体を残して、雪乃は肩で息をしていた。
「雪乃、休んでいる暇はないぞ」
「ふぁッ…ぁ、キャッ」
新しい唇痕を残そうと、うなじや背中に重なり落ちていた兼景の行為に、敏感に反応していた雪乃は、なぜか今度はあぐらをかいた元史の上にいる。そして言葉通り、休む暇なく突き刺されたそれに前後されて、大きく身体をしならせた。
「ァッ…あ……深ィ…ッそ…そこぉ」
「だいぶ降りてきてるな」
「ヤぁ……元史さまぁッ…アッぁ…んっ」
上下に揺さぶられた胸が輪を描き、髪が淫らに踊っている。元史の肩に手を置いて、膝を立たせたその中心に、何度も出入りを繰り返す男根に、雪乃は悦びの口付けを落とす。
「アッぁ、い……奥が、奥に、ッぃ」
腰を抱え込まれて当たる場所が余程いいのか。雪乃は甘えるように元史にすり寄り、その顔に胸を強く押し付けて感じていた。
「雪乃、随分とふ抜けた顔をしている。そんなにいいか?」
「……ぃ、いい……アッ気持ちいい…元史さまぁ…ッく…いく…っ…ぅう」
自ら元史に強く抱きついて、絶頂を味わう雪乃の内部に、先ほどの兼景に続いて、元史の精も注がれる。
喉をならすよりも確実に、膣を収縮させる雪乃の性力に、二人の男は負けじと顔を見合わせていた。
「ういやつよ」
「早く離れろ」
「いや、俺は少しばかり気に入った。雪乃であれば、色々と楽しめそうだ」
「ふざけるな。二度も注げば満足だろう」
「残念だが、兼景。俺は欲しいものは手に入れる主義だ」
これみよがしに雪乃を抱き締め返し、腰を深く埋めなおした元史に、兼景の眉間にもシワが寄る。
わかりやすく不機嫌をあらわにし、嫌悪をむき出しにした兼景の顔に、元史も悪戯な笑みを浮かべる。
「これは戦だ、兼景。欲しければ奪ってみろ」
「ならば、そのままじっとしていろ」
「は?」
物腰柔らかく、端整な男のどこにその気概が満ちるのか。元史の胡座の上に座る雪乃は気付かない。
突然、元史ごと押し倒され、まだ埋まったままの元史を無視するように、菊門にあてがわれたそれに息をのんだ。
「兼景さ、ま……ッ……おまちくださ、ァッ」
真下に寝そべる元史の上に乗りながら、さらに兼景に乗られる現状を想像してはいなかった。
雪乃は当然、焦りを浮かべ、必然的に逃げ道を探したが、そう上手くいくばかりではない。
「待っ……ぁ……兼景さま…ッ、ぅ」
「はは。これはいい、あの兼景も鬼畜になるか」
「黙れ、元史」
「イ…ァッ…苦し…ぅ…はぁ…はぁ」
「雪乃、八香の役目はこんなものか?」
「ヒぃッ!?」
小気味いい音を立てて臀部が揺れる。
明るい場所で確認することが出来たなら、雪乃の右尻には、兼景の手形がついていることだろう。
「おお、これはなかなか。いいぞ、雪乃。もっと絞めろ」
「力を抜け、雪乃。まだ先しか埋まっておらん」
「なんだ、叩かれるのが好きか。ほれ、これはどうだ?」
なぜか兼景に協力の姿勢を見せ始めた元史の攻撃に、雪乃の顔が苦悶に歪む。
「まるで犬の泣き声だな。乳首を乱暴にひねきられても達するか。雪乃を開発したものは、余程の物好きだな」
「俺ではない」
「なるほど。俄然、興味が湧く」
愛らしく悲鳴をあげて、内部に埋まる雄を締め付けながら痙攣する雪乃を男たちは堪能する。
力が抜けた一瞬を突いて、兼景が後門に収まったことも大きい。腸壁の薄膜越しに志路家と玖坂家当主の旗を感じる。
刃を交じらせる試合が始まれば、雪乃は息の仕方も忘れる激動に悩まされるに違いない。現に、震える身体をなだめようと小刻みに息を繰り返すのに、彼らは代わる代わる肌に口付けを落として、戦場の痕を残していく。
「ひ、ひどい、イッ…ぁッ…二人して」
苦悶に顔を歪ませた雪乃の声が、涙を浮かべて二人を糾弾したのは、そんなときだった。頬を膨らませ、唇をとがらせて、庇護欲をそそる瞳で男を埋める。いや、この場合は「抜けない」と言い換えた方が正しいかもしれない。
「そんなに、私をいじめて楽しいのですか?」
グッと締め付けが強まった気がするのは、決して気のせいではないだろう。腰を引き抜きたくても抜けず、また差し込むことも難しい。
いじめて、と雪乃は言うが、当の本人が喜んでいるというのに、それは成立しないだろうと、物言わぬ空気が語っていた。
「こうされて、悦んでいたのは雪乃であるぞ?」
「ぅ、ぁ……元史様、イヤっ」
「可哀想に、雪乃。今すぐこやつを退かせよう」
「ヒッぐ、ぅ……っ…兼景さま、キラぃ」
「雪乃、それは真か?」
「ァッ…昨晩も、そういうのはおヤッ、め……く、ださいと、申し上げ……ッた……ァッ…あ」
「聞こえぬ」
「兼景さ、まっ……ぃ、くッそれ、ヤッ、ぅ、イぐッあ、アアっぁいくッアぁァ」
「聞こえぬし、それを言うなら、雪乃。キライは禁句だと教えたはずだが?」
「ァッあ……ヤッ…ぁ、ヒッぃっ」
「雪乃は一晩で俺との約束を忘れる白状ものか?」
元史の胸板に落ちる雫は、汗か涙か。御簾のような黒髪の中にある表情は伺い知れなくても、そこに埋まる二人にはわかっている。特に、雪乃の腰を乱暴に掴む兼景よりも真下からずっと眺めていた元史のほうが、それを客観的に理解していた。
「雪乃は尻も好む、か。八香の女は相当な好き者だな。この調子では、喉も勝手が良さそうだ」
大きな手で、雪乃の細い首を掴む。
すると、そこには真っ赤な顔で瞳に涙をため、唇を噛む、悔しそうな女の顔があった。絶頂に果てた事実は隠しようもなく、それがどうも不服らしい。
「雪乃、そう不貞腐れるな」
「元史様、人が悪いですわ。私、乱暴されるのは好きではありません。優しい殿方が好きですのに」
「雪乃、怒っているのか?」
「兼景様も意地悪です。関係のない場所にまで子種を注ごうとするなんて」
「そうだな。俺も意地悪が過ぎた。雪乃が、本当に望まぬのであれば、この床戦をすぐに終え、その下にいる男の首をすぐに撥ねよう」
「言うてくれるな、兼景。雪乃、優しくするから力を抜け、腹黒狸を追いやって、俺しか見えぬほど愛してやろう」
たった一人の女を二人がかりであやす姿は、端から見れば随分と滑稽だろう。けれど、見えない箇所で行われる戦は、そう簡単に気が抜けるものでもない。それほどまでに、雪乃の内部はきつくしまり、男の首を絞め殺そうとし始めていた。
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