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そして、ある朝、天のみ使いは死にました。なきがらの代わりに硝子の花が咲きました。虹色にかがやくきれいな花は決して枯れることはありません。それなのに、愚かな王さまは天のみ使いを生き返らせようと硝子の花をこなごなに砕きました。硝子の粉とその羽をまぜてひとを形づくります。そうしてつくった天のみ使いは、金剛石の瞳をした白くてきれいな少女の姿をしていました。けれど、けれど、けれど。その天のみ使いもどきには声がなかったのです。翼も半分しかありません。
失敗だ。
深く絶望した王さまは短剣で胸をひとつきして死にました。目を覚ましたばかりの天のみ使いもどきの目の前で。
憐れに思われた神さまはうまれ落ちたばかりの天のみ使いを眠らせました。王さましか入ることのできない塔の上で、いつかおわりの王さまが訪れるその日まで。
──これがはじまりのお伽噺。
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