【完結】旦那様が、消防士👨‍🚒になりたいそうです!

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「ま、まあ、まずは、落ち着いて、椅子に座ってください!」 そう言った波瑠の方が、椅子に躓いて、転んでしまった。 渋谷課長が、素早く支えてくれたので良かったが、何せ、臨月の妊婦なのだ。 ちょっとこけただけで、大事になりかねない。 「そ、それで」 波瑠は、椅子に座り直して、訊いた。 「どういうことなんですか? 消防士って」 「ああ。驚いていることだと思う、すまない。身重の君に対してこんなことを言ってしまって……」 渋谷課長は、真剣な表情をして言った。 「つまり、私の生き方の問題なんだ」 「は?」 波瑠は、きょとんとしてしまった。 「い、生き方?」 「ああ。私は、これまで、勉強ばかりして、人を蹴落とすことばかり考えて生きて来た。このまま、県庁のエリートコースに乗って生きていては、きっと、とても悪い人間になってしまう……」 渋谷課長は、結婚前から、自己肯定感が低かった。 高学歴、185センチの高身長、県庁のエリートで高収入……なのに、いつも、自分は悪い人間だと言っていた。 しかし、それがどうして、消防士と結びつくのだ? 波瑠は、不思議に思って訊いた。 「ど、どうして、それが消防士なんですか?」
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