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一時はヒヤヒヤさせられたが、カナタは、今回も無事に任務を終えた。
ガイダンスから終了までは、ほんの数十分。まさに「瞬殺」だ。
センチネルとしての、カナタの「能力の高さ」を誉めそやす声が、また広がるだろう。特に外野から。
だが――
もう解放してやってほしい。カナタを「任務」から。
それが俺の本心だった。
だったら、お前もお払い箱だぞ――と。
そう返されるのも、「タワー」との常のやり取りだ。
まったく構わない。それでいい。
俺は「カナタ」の「ガイド」だ。だから、カナタが解放されれば、俺の「存在意義」はなくなる。
俺に「他のセンチネル」のガイドはできない。
別に「存在したい」ワケじゃない。そんな欲求こそ「存在しない」。
ただ俺は。
カナタのことだけが気がかりだった。
いつだって綱渡りだ。
今回も「ラッキー」だっただけ。
これまでも、危機は何度あったか知れない。
夢を見る。
フリーフォール。
おちる、おちる、落ちていく――
カナタが。そしてそれを見つめる俺が。
壊れたセンチネル。
ストレイ・ウルフとなったスピリットアニマル。
「ドサクサまぎれに殺すなよ」と、ついでのように言い捨てた。
あれがカナタの本心だと、分かっているから。
あれが、センチネルとしての、カナタの本音だったから。
アイツを抱き締めてやれない「俺」が、あとどれほどの間。
あと幾度。
「リコシェ」を支え続けられるだろうか――
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