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私はタンポポ幼稚園の年長さんクラスを担当する保育士。
自由遊びの時間になって、みんな外へ出てボールをぶつけあったり、タイヤ飛びをしたりして思い思いに体を動かしている。
「せんせー」
と、私のところへやってきたのは、やんちゃなレイジくん、おませなアユちゃん、そしてしっかり者のトモキくんという、いつも一緒に遊んでいる仲良し三人組だ。
「どうしたの?」
私の問いに、トモキくんが
「マーくんを貸して」
と言った。部屋の用具棚の上に置いてあるクマのぬいぐるみのことだ。園児たちからは「クマのマーくん」と呼ばれている。
「いいけど、何につかうの?マーくんが汚れちゃうから、お外へ持っていったらだめよ」
「部屋の中でマーくんを使うんだよ」
「そう!お部屋の中でお医者さんごっこするんだよ」
お医者さんごっこか。マーくんを患者にでも見立てて遊ぶのだろう。こういうごっこ遊びは昔も今も子供の想像力を育てるのに抜群の効果がある。
「へぇ、三人でお医者さんごっこかー。じゃあ、三人とも将来はエラいお医者さんになるのかな」
三人はクマのマーくんを受け取ると、クラスの隣にある室内の遊戯ルームへ移っていった。
自分の受け持ちの園児たちの事故やケンカのトラブルを防止すべく、私は外のグラウンドを一回りしたあと、アユちゃんたち三人が遊んでいる遊戯ルームをそっと覗いてみた。
あ、やってるやってる。
三人は部屋の隅のブラインドが下ろされた窓際に陣取って、その真ん中にクマのマーくんがタオルを掛けられて横たわっていた。
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