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僕はちょっとだけ躊躇した。
永遠へと続く暗い道。
全てを覆い尽くすような黒い闇。
この道に一歩踏み入れば、もう二度と後戻りできないことはよくわかっている。しかし、僕には他に選ぶ道などないじゃないか。
さあ、もういいだろう。
ちょっと気の迷いがあったけれど、僕はひとつ大きく深呼吸して、目の前の暗い道へ歩みを進めることにした。
だが、それはできなかった。
足が動かない。
なんと僕の足に小さな男の子がひとり、すがりついているではないか。
この子、一体どこから現れたのだろう。でも、この男の子、かすかに見覚えがあるような気がする。遠い、遠い昔にどこかで……。
「お兄ちゃん、どうしてそっちの道へ行くの。お兄ちゃんが行くのはそっちじゃないよ!」
「君……誰?」
男の子は僕の足に必死にすがりつきながら言った。
「忘れちゃったの?昔、一緒によく遊びに連れて行ってくれたじゃないか。魚捕りにも虫採りにも。ボク、魚や昆虫を捕まえる道具を仕掛けたりとか、本当に楽しかったんだよ。なのに……それなのに……どうして、そっちの道なの?」
確かに昔は魚捕りや虫採りに行ったことはあったが、こんな男の子を一緒に連れて行っただろうか。
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