4.ブラックジャックをよろしく

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こういうときにトモキくんは本当に上手にリーダーシップを取る子だ。 みんなに話すときにも、何かこう不思議なカリスマ性と、「こうしよう」と方向性を決定づけるような言い方で発言する。 物事の決め方がいささか強引なときもあるけれど、きっと政治家とかになって、みんなを引っ張って行く人物になるに違いない。将来が楽しみな子だ。 意外とリアルに大物経営者になるかもしれない。 アユちゃんがトモキくんの話を聞きながらコクンコクンと頷いている。 アユちゃんは周りの子よりも少し大人びた考え方をしているところがあって、相手の話を理解するのも早い。 相手が何を考えて望んでいるのかを察知してそのように振舞うことができる、いわゆる愛されキャラだ。 コミュケーション能力と場の空気を理解する能力は世渡りには大切だもの。こういう協調性に優れた女の子は、きっと将来もみんなに大事にされることだろう。 レイジくんは、どことなくトモキくんから顔を背け、納得がいかなそうな顔をして不貞腐れた感じで話を聞いている。 特にケンカにまで発展しそうな雰囲気ではなかったが、何かトモキくんの言っている案が気に入らないのだろうか。 元気で何事も一生懸命なレイジくんだが、たまに自分の気持ちが突っ走りすぎて我を通してしまうところがある。 今日も「ちゃんと自分以外の人のこと考えて行動するのよ」と言い含めて自由時間に送り出した。 幼い面があるのは仕方ないけど、もう少し自分を客観視して、相手の意見を受け入れられるようになるといいな。 運動でも学習でも、他の子にはないキラリと光るモノを持っていることを私は知っているから。 三人は何やら話し合っているようだが、何だろう。 トモキくんを中心に何かもの凄い熱心に話し込んでいる。 いやいや、たかがごっこ遊びとバカにしてはいけない。 きっとお医者さんごっこの配役を話し合って筋書き(ストーリー)をきちんと確認しているのだろう。 遊戯ルームをそっと離れた私は、再びグラウンドで追っかけっこの最中にぶつかって小競り合いになった男の子二人をなだめていた。室内の遊戯ルームから何か大きな声が聞こえたような気もしたけれど、事態が収まったところで自由時間が終わって全員がクラスの部屋に戻る時間になった。 クラスに戻って全員を目視点呼したところ、一人足りない。 誰だ? ……アユちゃんだ。アユちゃんがいない!
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