５次元倶楽部

５．モンちゃんねる

『はい、というわけで今日もはじまりました～ワタクシ、モンちゃんがお送りする【モンちゃんねる】でございますぅ～パチパチパチ』

ボクはV(ブイ)-tuber(チューバー)のモン。
大好きなパンジーの花が咲き乱れる画面エフェクトが表示され、今日もパソコンのカメラを前に、配信が始まる。

V-tuberとは、日本で始まったVirtual (バーチャル) Youtuber(ユーチューバー)のことだ。
いまの時代、動画を投稿している人はたくさんいるけれど、ボクもまぁそんな中の一人だ。

そんな中でも、自分の顔を一般に公開したくない人は、コンピュータグラフィックスのキャラクターやアバターを自身の姿として投稿活動をする。
キャラ付けをしたくて、CGで合成された個性豊かなキャラクターを駆使して ダンスやゲームやライブ配信に、敢えてアバターを使う人もいるようだけれども。

別にボクは顔出しして身バレするのがヤバいというよりか、自分の顔にあんまり自信がないのと、そのまま流したらちょっとマズいかなーというのもあって、「アニマルチェンジャー」というアプリを使用して、動物の顔を自分の顔に合成して配信している。
お気に入りのキャラはチンパンジー。眉がキリっとしたなかなかハンサムなイケ猿なので、配信開始からずっと使っている。今ではもうすっかり視聴者にはこのお猿キャラが定着したみたいだ。

ボクは喋るのが著しく苦手。
というか、配信なんかしておいてこんなこと言うのはあれだけど、人に話すのなんてマジで無理ｗ
でも、自分の話したい内容をパソコンのキーボードで入力すれば、画面では自分のキャラクターであるお猿ちゃんが口を動かして、ボクの話したいことを代弁してくれる。
配信していると、話したい内容が後から後から頭の中に溢れ出てきて、お陰で最近ではパソコンのキーボードのタイピング技術が上がりまくりだ。

この動画に映るアバターのボクは、ボクであってボクじゃない。