僕と彼女

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日曜日、僕は早めにやって来た。 少しだけおしゃれもしてみた。 いつもは近所の床屋でサッと切ってもらう髪も、今日は美容室で整えてもらった。 早く来ないかなぁ。 彼女を想いながら星を眺めていると、 「光くん」 待ちに待った声が僕を呼んだ。 佇むその姿は、相変わらずキラキラと輝いていている。 「晴れてよかったね」 僕の傍に来て微笑む彼女にドキッとする。 「私、てるてる坊主作ったのよ。雨が降ったら光くんに会えないし、星も見えないから」 可愛い、可愛すぎる。 てるてる坊主を作ってまで、僕に会いたいと思ってくれていたということ? 舞い上がってしまいそうな感情を必死に抑えた。 「ねぇ、光くん」 「何?」 「星のこと、詳しいの?」 「少しだけ」 「私に教えてくれる?」 「うん」 「私、オリオン座くらいしか知らないの。あれでしょう?」 彼女が指差した先にはオリオン座が輝いている。 「うん、そうだよ」 「オリオン座って冬の星座なんだよね?」 「うん、ほら、オリオン座の左上の方、あそこに凄く光ってる星があるでしょう。わかる?」 「うん」 「これで見てみて」 僕は双眼鏡を手渡した。 「この星、昨日私が見た星だ。赤く光ってる星」 「その星はベテルギウスっていって、冬の大三角形の星の一つなんだよ」 「冬の大三角形、聞いたことある!じゃあ、三角だから、あと二つ星があるってことだよね?」 「うん、そう」 「あと二つはどれ?」 「べテルギウスの下の方に強く光ってる星があるでしょう?」 「うん!青白っぽく光ってる。強く光ってる」 「その星はシリウスっていうんだ」 「シリウス、聞いたことある!あの星がそうなんだ」 「そして、シリウスの上の方に向かって、ベテルギウスと三角線を結ぶように見ていくと、白っぽく光る星が見えない?」 「あっ、あった!白く光ってる」 「その星はプロキオンっていうんだ」 「赤、青、白、だね。ベテルギウス、シリウス、プロキオン!」 「うん」 「うわぁ、私、なんだかちょっとだけ賢くなったみたい」 目を輝かせながら話す彼女は、僕にとっては一等星の何者でもない。
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