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断ち切る想い ~Side:早乙女~
今日こそ、あの人に別れを告げる。
俺は出社するとすぐに、九条にメールを送った。
「今夜、お時間ありますか?お話ししたいことがあります。」
勘のいい九条のことだ。
これを送れば察するだろう。
すると、5分もしないうちに返信が来た。
「分かった。仕事が終わり次第、いつもの場所で。」
今夜、決着をつける。
「早乙女、どうかしたか?」
「あ、一ノ瀬。うんと...」
俺は言葉を詰まらせた。
一ノ瀬に言うべきだろうか?
だが、彼にこれ以上、迷惑を掛けたくない。
自分の間違えは、自分で正さなければ。
「場所変えるか?」
「うん。」
だけど、一ノ瀬の顔をみたら、隠し事はできないと思い知らさせる。
彼には何もかも見透かされてしまう。
観念した俺は、一ノ瀬と共に、人気のない休憩所へやって来た。
「コーヒーでいいか?」
「ありがとう。」
一ノ瀬が自販機で缶コーヒーを2本買い、そのうちの1本を俺に手渡した。
俺はコーヒーを1口飲み込むと、覚悟を決めて話し始めた。
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