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想い人の秘密と、断ち切れない想い
俺と早乙女は同期入社だ。
入社当時から、気が合う俺たちは、毎日一緒に昼ごはんを食べる仲になっていた。
早乙女と居ると心地いい。
それが恋だと気づくことに、さほど時間はかからなかった。
早乙女への想いに気づいてからも、俺は仲のいい同期であることにつとめた。
俺には、今の関係を壊す勇気がなかった。
そんなある日のこと。
会議が終わっても、早乙女が会議室から出てこなかった。
心配になった俺は、会議室に戻り様子を見に行った。
ドアノブを回し、扉を開けようとした時、部屋の中から声が聞こえた。
「もうやめにしましょう。こんなこと。」
「俺には君が必要だ。」
「直人さん、俺は辛い...もう無理です。失礼します。」
会議室から出てきた早乙女と一瞬目があった。
目にはうっすらと涙が滲んでいた。
俺は知ってしまった。
早乙女と上司の禁断の関係を。
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