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「それでは今から新商品開発会議を始めよう。」
会議は白熱した。職人の動きを完全再現したらどうか、疲労度に合わせて味を変えたらいいんじゃないかなど、真面目なアイデアや一見ふざけたようなアイデアなどいろいろな角度からの意見が交差した。
会議が終盤に差し掛かったところで幸阪が提案した。
「ロボットにも空腹って考えを組み込むことはできないでしょうか?もしロボットが空腹という思考を持ったら主人の空腹状態を察知して料理が出せると思うんですよ」
「それだ!」
遠藤が叫んだ。しかし他のメンバーは理解していないようだったので彼は言葉を付け足した。
「想像してみてくれ。お腹いっぱいの状態で食べる料理人の料理、腹ペコの状態で食べるクッキングロボの料理、どっちが美味しい?それはもちろんクッキングロボに決まっている。つまりただの料理に空腹という最高のスパイスを加えることによって料理人にも作れない美味しい料理が作れるのだよ!」
言葉の意味を理解した面々は一同に拍手した。いいアイデアが産まれたという喜びの拍手、やっと会議が終わるのかという安堵の拍手、考え方が根本的にずれているのではないかと疑う疑惑の拍手が合わさり一つの音色を奏でた。
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