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一体どういうことなのか?
晴はさらに混乱した。
自分が契約したはずの家が全く別人が自分の家だと主張している。
まるで異次元の世界にでも迷い込んだみたいだ。
そんな非現実的なことまで考え始めた。
しかし、晴は必死に冷静さを取り戻そうと、自分に言い聞かせるように順を追って説明した。
「家主さんと確かに契約はしたし、お金だって払った……」
まずは確かな証拠が欲しかった。それを相手に示せばいい。
しかし、この時の晴は何より自分を現実の世界に引き戻す確実な証拠が欲しかった。
晴は積まれた段ボールの中から契約書を探し出そうとして、いくつか段ボールを開けた。段ボールにはきちんと中身がわかるように明示がしてあったが、それがされていたことにも、それを確認する余裕もなかった。
今度は別の理由で手が震えた。
今更、この契約が無効だったなんてことになるのは困る。
いったいどういうことなのだろうか。
気持ちは焦るがとにかく契約書を確かめてから彼にも、家主にも確認する必要がありそうだった。
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