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「偽物なんかじゃないし、そそのかしてもない。そもそも家主さんは私とは契約書なんか結ばなくてもいいって、おっしゃってたのよ? 私のことは信用してくれてると思うし、私も彼女のことはすごく信頼してる。だけど、知り合いに相談したら後で問題になったらいけないからって、わざわざ作成してくれて、契約に立会いまでしてくれたのよ?」
晴が断言する間も男はただ食い入るように契約書の署名箇所を見つめている。どうやらまだ疑っているらしい。
「なんなら立ち会ってくれた私の知り合いに確認してみる?」
「……そいつもグルなんだろ?」
「グルって……」
晴は呆れながら肩を落とした。
「じゃあ、聞くけど、あなたはここが自分の家だって言うけど、その根拠は何?」
晴は自分が示すものは示したと、契約書にトントンと指を乗せて言った。
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