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「はーちゃんならこーちゃんのおふとんでいっしょにねてもいいよ?」
光太郎の温かい手が雨で冷えた晴の手を握った。晴はその優しさを包み込むように光太郎の手を握り返すと床に膝をついて光太郎の目線に合わせた。
「……ありがとうね。でもね……」
晴が言い掛けると、正木がかぶせるように口を開いた。
「ベッドも布団も“いっぱい”はないけど、香山さんを寝かせられる来客用の布団の一枚や二枚ならあるし……うちは来てもらっても大丈夫だよ」
「え……」
「あ、もちろん、迷惑じゃなければだけど」と正木は付け足した。
「でもそれじゃあ……」
突然の申し出に晴は動揺した。ただの親切だと思えばそれまでだが、即答はできない。頭の中では色々な考えと感情が飛び交っている。
「絵理奈に聞いてみようかな。彼女のところに……」
「梶本さんは今日も明日も仕事だろ? うちならゆっくりしてもらっていいし……ほら、光太郎もいるから騒がしいかもしれないけど……安心してもらっていいし……」
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