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正木が何を言いたいのかは晴にもわかった。
その間にも光太郎はすっかりその気で「こーちゃんがはーちゃんとねる!」などと言ってすでに晴を独占するつもりでいる。
「光太郎もこう言ってるし」と正木が全身を濡らしたままで言うので、晴も返事に迫られた。鼓動が早まり、視線も落ち着かなかった。
「……じゃあ……お言葉に甘えて」
晴はどんな顔をしていいのかわからず、俯き加減で言うとそのまま頭を下げた。
……光太郎くんも言ってくれてるし……彼の気持ちを折るわけにはいかない……よね。
晴は自分に言い訳をするように心の中で呟いた。
「じゃあ、香山さんは行けるように支度して。俺はこれ車に積んじゃうし。うちの近所のコインランドリーでいいよね? 車、家の前につけるし、取ってくるよ」
部屋には少し早口になった正木の声が響いた。
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