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そして、とうとう正木のマンションに到着した。
車から降りる時、荷物を持ち上げる時、エレベーターに乗り込んだ時、コインランドリーを出てから徐々に膨らみ続けた言いようのない感情が晴から落ち着きを奪っていた。
……本当に……いいのだろうか?
布団は確かに時間はかかるが予想よりは短時間でいけそうだ。もっと時間がかかると思っていた。それならコインランドリーで待てばいい。
布団はどうやって運ぶ?
タクシーを使えばいいし、寝るまでには布団は確保できる。
座布団を繋ぎ合わせて寝るべきだった?
いろんなことが頭の中を駆け巡る。
やっぱり……今から引き返す?
そう思ってマンションの通路でエレベーターホールを振り返ると、今まで前にいたはずの正木が晴の視界を塞ぐように立っていた。
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