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すると晴は、最初の恐怖はどこへやら、あわよくば、この男を警察に突き出してやろうとまで思い始めた。
さらに、逃げられた時にはこの男の特徴をできるだけ詳細に警察に伝えなければと思い、晴は男を観察し始めた。
言い換えるならば、晴はこの頃になってやっと男の容姿を見られるほどの落ち着きを取り戻したのだった。
長身の男は八頭身に見えるほどスタイルが良く、着ている服は彼の身体よりもワンサイズは大きいが、Tシャツから覗いた腕などを見るに、彼が鍛えられた細マッチョなモテ体型であることは間違いなかった。
そして、晴の視線の位置から随分と上にある彼の顔は、筋の通った高い鼻と綺麗な二重の目、眉の形も濃さも申し分がなく、なんともバランスの整った……正真正銘のイケメンだった。
そして、輪郭の整ったその顔を覆う髪の毛は見た目にも柔らかそうな天然か人工的かゆるいパーマのかかった焦茶色をしており、今の流行を感じさせた。
……とんでもない詐欺師がいたのものだ。
晴は眉間に皺を寄せながら男から目を逸らした。
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