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「むしろ、私の方は十和子さんのお孫さんに会えて嬉しかったですよ」
嘘も方便。晴はそう思いながら口にした。
彼女にこれ以上心配をさせたくはなかった。
しかし、十和子の心配を拭いきることはできなかったらしい。
『あの子、私のこと怒ってるわよね? これ以上、晴さんに迷惑を掛けないように帰るように言ったんだけど……大丈夫かしら?』
彼の性格を知っている十和子にとっては心配するなと言う方が無理があったかもしれない。それどころか気が気でないはずだ。晴はスマホを顔から離してため息をつくと再びスマホを引き寄せた。
「彼のことは心配しないでください。私がなんとかしますから」
晴はそう言うと、最後に彼女の体調を気遣う言葉をかけて電話を終えた。
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