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「は? なんで?」
史月が驚いたのは、自分の身長を晴に言い当てられたからだった。
「よく一緒にいた会社の上司……あ、元上司だけど、その人が173センチって言ってから。ちょうど10センチくらい違うかなって」
晴は史月の反応から自分の予想が当たったのだとわかり、難問に正解したようで嬉しくなって思わず顔がニヤけた。
「あ、ちなみに、その上司……ああ、元上司だった」と晴が言い直すと史月は「そんなのどうでもいいし」と口を挟んだ。
「その元上司が、今回、十和子さんと私のために契約書を作って、立ち会ってくれた人なの」
晴は史月に笑顔を向けた後、沸騰し始めた鍋の中を覗いた。
晴の横顔は単に蕎麦を楽しみにしている風にも見えたが、史月にはそれだけではないような気がした。
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