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晴が引っ越しを決めた理由が理由なだけに、屈託のない笑顔を見て、絵理奈は心から安堵した。
今は美味しそうにロコモコ丼を頬張っているが、こんなに食べることの好きな晴が“ソレ”が原因で食欲がなくなって、あまり食べられなくなった時期もあったほどだ。
晴が美味しそうに食べている姿が見られるのは絵理奈にとっても嬉しいことだった。
「晴のその顔、久しぶりに見た」
本人に自覚がなかったのか、晴はキョトンとした顔で絵理奈を見た。
気づいていないならそれでもいい。
絵理奈は説明はやめて話を自然な流れに戻した。
「ホント、美味しそうに食べるよね。私の目玉焼きの白身あげる」
絵理奈は話の口実に、丼の中の目玉焼きをほぐし始めた。
「まだそんな好き嫌いしてるの? 私がプラスで食べたら太るじゃない? 身体の大きさ考えてよね?」
背の低い晴に対して、絵理奈は165センチと身長が高い。
長身に加え、しなやかに引き締まった体つきでスタイルは抜群だった。
キレのある顔のパーツと艶のあるストレートのロングヘアはその長身に見合っていると晴は思っていた。
気心の知れた同僚で、晴にとっては親友でもあった。
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