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「いいじゃない。晴の場合は全部その胸に吸収されるんだから。他は全然太らないじゃない」
絵理奈は晴の胸元を見て言った。
「いいよねぇ。私の10倍くらいあるよね。私は縦には伸びたけど、ここは全く膨らまなかったからなぁ」
彼女は自分のほぼ平らな胸元を撫でて嘆いた。
「……10倍って。私は胸より身長が欲しかったよ。絵理奈が羨ましい」
晴は上半身だけでもスタイルの良さがわかる絵里奈を見つめた。
「あげられるものならあげたいわよ。小柄な方が可愛いじゃない。私は晴が羨ましい。ちっちゃくて胸だけバインなんて最強じゃない」
絵里奈は自分ではため息をついた後に、晴に向かってウィンクをした。
背の高い女子は大抵小さい方が可愛いと言う。
しかし、晴は全く共感できなかった。
もっとも、その発言が単に背の低い相手を慰めるものである可能性もおおいにある。むしろ後者の方が多いのかもしれない。
晴は絵里奈には気づかれないほどの小さなため息を鼻からもらした。
それと同時に晴はつい最近、こうやって身長が欲しいだのと話したことと……その相手を思い出した。
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